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【キング・アーサー】映画レビュー




 始まりは一本の電話でした。

「お姉ちゃん、今度の盆休、いつ【キング・アーサー】見に行く?」

 ……………妹よ、確かに前回あなたと映画に行った時、予告編を見て「これ見たいよね〜」と話し合った記憶はありますが、それにしたって姉の意見は総無視ですか??(ちなみにその時はハリポタ2回目だった(笑))
 しかし我が家の姉妹における力関係は歴然としている。すなわち

妹(双子の姉の方)>妹(双子の妹の方)>私

である。ここに我が家のペットであるところの犬猫が加わった場合、容赦なく私と妹の間は開いてゆくのはもはやお約束です。


 そんな訳で新幹線で地元に帰り、実家で夕飯を30分で詰め込んですぐに映画館に連行されました。いや、見たかったんだけどさ。夕飯もゆっくり食べたかったって言うかさ。
 地元のレイトショーをやってる映画館になだれ込んでアイスを買い、上映時間までだらだらと妹の仕事の愚痴を聞く。就職3ヵ月半の彼女はすでにデューダを夢見て就職情報誌を読み漁っており、ついでに今年一杯で退職予定の姉の分まで探してくれているらしいが、イマイチ彼女とは趣味が合わないのが最大の難点だろうか。
 ちなみにそんな彼女の第一転職希望先は結婚、第二転職希望先は公務員らしい。そしていずれの道も無理だろうとは、彼女を除く家族全員の意見だ(死)



 それはともかく、キング・アーサー。日本では【アーサー王と円卓の騎士】で有名ですね!!読んだことないけれど。
 イギリスの伝説の王様、というぐらいしか知らなかった私にとっては色々な意味で興味深いお話。【ロード・オブ・ザ・リング(指輪物語)】なんかはこれを下敷きに書かれたお話らしいですね。どっちにしたって知らないんだけどさ。たいへん個人的な理由から私は永遠に【ロード】は何があっても見ないだろう。
 古代、4世紀のイングランド。ローマ軍の指揮官であるアーサー(アルトリウス)は、イングランドに築かれた城壁を守る騎士を率いる軍人で、敵のウォードやサクソンの間にも広く名を知られる人物。
 そんな彼を指揮官とする騎士(ナイツ)はローマ軍に兵役を強いられている異民族。物語はその中の一人、二刀流のランスロット少年の旅立ちから始まります。
 期限は15年。15年経てば兵役から開放される。けれども恐らく、戻ってくる民は少ないのでしょう。一族はランスロットを送り出すのに、涙を隠しませんでした。


 と、まぁこんなカンジで始まる映画なんですが、最初に思ったのは「下ネタ多すぎ!!」ってことです。
 別にお上品にいく必要はないし、史実(?)に基づけばどっちかって言うともっとお下品だったんだろうな、ということも予想がつくんですけれど、だからって別に無理に下ネタ入れる必要ないと思いません??それともこういうのが昨今の映画の主流なんですか??やだなぁ……………
 ランスロットもね、どうやら本来の伝説ではモテモテの色男らしいけれど、どうも見た感じただの下ネタ好きのスケベな青年、という印象が……………(滝汗)
 アーサーとの信頼関係も判り難いし、正直を言えば最初は「面白い!!」とは言いがたいです。どっちかと言えばイライラする。


 が、グウィネヴィアを救出する辺りから多少面白くなってくる。
 やっぱり女の子が出てくるのは古今東西物語の鉄則なんでしょうが、例に違わずグウィネヴィアも色気たっぷりのお姉様でした。あはん、てカンジの。
 ……………いや史実に基づけば(以下略)
 でもそこに至るまでのウォードの地での旅や、辿り着いた先で司教(なのか?)のおいたを懲らしめるのなんかは愉しかったよ。司教の息子は私好みのまじめクンだったしね。


 場面として一番お気に入りなのはやはり凍れる湖です。アーサーと騎士たちとグウィネヴィアだけで弓でサクソンの軍勢を沈める場面。
 皆で揃って弓を射る場面はかっこよかった♪しかし、矢が飛んできても歩いて直進するサクソン……………昔の戦ってそんなもんだったんか??ちょっと間抜け……………
 でも、ここで氷を割る為に一人が犠牲になりましたね。残念でした。助けに走ったアーサー天晴れ。やっぱ大将はそうでなくちゃね。


 逆にいらなかったよなぁ、と思うのはアーサーとグウィネヴィアのナニの場面。確かにグウィネヴィアは本来の伝説でもアーサーのお妃なんだから当然の帰結ではあるんですが、ストーリーにとってはまるっきりいらない場面です。
 むしろこの場面が入ったことで私と妹の間ではちょっとグウィネヴィアの評価が下がりました(汗)
 アーサーとグウィネヴィアが結ばれる理由が「本来の伝説ではそうだから」という以上に画面からは見出せませんでした。ランスロット可哀想。
 むしろ篤い友情に燃える男達の物語としてまとめてしまって、グウィネヴィアはミステリアスなウォードの女戦士、というだけでも十分存在感はあったと思います。むしろストーリーとしてはそっちの方が自然だし。本当にもったいない。

 あと、当初から【邪悪な魔術師】として名前が出てきたマーリンも存在感はなかったなぁ。ただ【魔術師】である彼が石弓を使って攻撃する場面は、何となくお気に入りだったりします。
 昔ってこれが【魔術師】だったんだなぁ、と思いましたね。ようは常識に当てはまらない【斬新なこと】をする人が【魔術師】。多分現代、こうしてホームページを作ってる私はあの当時から見れば【希代の大魔術師】に違いない。
 あくまでリアリズムを追及する物語性と【魔術師】という存在を違和感なく整合させる一つの手段としては良い着眼点だと思います。変に雷を呼ばれるよりはずっとマシ(笑)


 ヒトとしてお気に入りなのはなんと言ってもランスロットですね!!もう彼が可愛くて可愛くて仕方ありません。
 多分、脳内ボルテージがおかしな方向(女性向けゲーム)に固定されている状態で見たのが良くなかったのかもしれませんが、なんつーか、アーサーに対するランスロットの態度がですね、

「もっと私のことを構ってくれても良いでしょ!?」

と逆切れている恋人のように見えて仕方がありませんでした(爆)
 うわぁ、可愛いのう、ランスロット。
 特に最後の場面になりますかね、サクソンが城壁の間際まで攻めてきてローマ軍は力一杯逃げ出す気満々で、騎士達も自由を手に入れたばかりでとっても複雑な心境で、でもこんな場面でアーサーが取る行動なんて判りきっていて。

「お前に何の義理があるって言うんだ、アーサー!!頼む、俺達の友情にかけて止めてくれ!!」
「友達なら僕を止めるな、ランスロット!!」

という場面が、私の中では「私を愛してるなら行かないで!!」「僕の恋人なら止めないでくれ!!」と言う痴話喧嘩に変換されてしまった辺り、なんとも言えず末期症状だと思われます。
 だって本当にそう聞こえたよ……………偽りなくナチュラルに……………

 という訳で私はランスロット×アーサー派だから←めっちゃ私信


 次にヒトとしてお気に入りだったのはグウィネヴィアです♪
 最初のうちって美人で色気ムーンなお姉様、って言う印象しかなかったんですよ。それはそれで私的に好きではあったけれど、あんまりグッと来るモノはなかった。割とありきたりだしね、ホント。
 がっ、その印象が払拭されたのは最後の戦いで、グウィネヴィアがウォードの姿で登場した時です!!
 美女の姿で弓を引いてるときも、かっこよかったけれどこれほどの印象はなかった。とにかくそれぐらい衝撃的に彼女は【ウォード】そのものだった。
 さらに戦いが始まり、弓ではなく剣を使っての白兵戦になだれ込んだときには、彼女は私の中である意味ランスロットと並ぶお気に入りの座を占めていました。

 見た目的に美しかったかといえば、そうではないでしょう。歯を剥き出しにして叫び、全身をばねのように相手に踊りかかり、鬼気迫る表情で【マジで殺る気】全開で戦う彼女は、お世辞にもヒロインに相応しい存在ではなかったはずです。
 けれどもそこまで演じきったからこそ、彼女はあの瞬間誰よりも美しかった。
 ランスロットも二刀流で踊るように戦い抜いていたけれども、グウィネヴィアのそれにははるか及びません。彼女は【ウォード】だった。成り切っていた。魂そのものが叫んでいた。
 伝説を知っている人にはそれが不満だった部分もあるようですが、私は逆にそれがグウィネヴィアらしいと思ってしまいました。
 彼女はただ美しく、アーサーの恋人役として出てきただけの女性じゃないんです。戦士なんです。誇り高い【ウォード】の民として剣を取り弓を引く、生まれながらの戦士の魂を持つ女性なんです。

 だからこそアーサーとことに及んだ場面は本当にもったいなかった。あんな描き方では彼女の誇り高い魂を汚すだけです。グウィネヴィアをただの娼婦に貶める行為です。

 確かにあの瞬間、アーサーには救いが必要だったでしょう。けれども彼は同時に誇り高き王の魂を持つ指揮官だったはずです。ローマの神に救いを求めながら信仰の自由を容認できる、正に王の器を持って生まれてきた存在なのです。
 ならばそんな誇り高い二つの魂の結びつきが、あんな場面で終わって良いはずがないじゃないですか。それはこの世でもっとも神聖な契約であり、尊い慈しみ合いでなくてはならなかったはずです。侵しがたい気高さを兼ね備えながら母のような安らぎを与える、そんな行為でなくてはならなかったはずです。
 それが描けないのならいっそ最初から肉体による結びつきを描こうとしない方が、よほど映画としては完成度が高かったんじゃないかしら、と思うと本当に残念でなりません。

 下ネタもね、あんなに行き過ぎた機嫌取りみたいに入れる必要はないと思うのよ。むしろ製作陣の程度の低さを伺わせるだけだと思うんだけどな……………



 まぁ、そんな訳で文句は一杯ありましたが、総評すれば面白い映画でした。
 つーか、面白かったからこんなに語ってるんですがね、実際。でなきゃわざわざレビューなんか書かないし。

 いつまで公開かはわかりませんが、是非見に行って損はないと思います(笑)
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